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「白血病の治療」山口大学医学部附属病院血液内科　中邑幸伸 助教

説明 血液内科は白血病、リンパ腫、各種貧血や血小板減少症など、血液疾患全般の診療を行っています。難治性血液疾患に対する造血幹細胞移植をはじめとする最先端の医療を提供し、新たな無菌病棟も稼働しています。 ここでは、白血病の治療についてご紹介します。 ■白血病とは 白血病は血液細胞が、がん化し増殖することで正常な血液が作られなくなる病気です。がん化した細胞の種類により骨髄性とリンパ性に分けられ、それぞれ、病気の進行の度合いや症状により急性と慢性に分類されます。 ■白血病の治療 急性白血病は、白血病細胞が急速に増加するため速やかに抗がん剤治療を行う必要があります。他のがんと比べて高用量の薬剤の投与が必要なため、副作用も重篤になります。特に感染症の合併には注意が必要で、清潔に管理されたクリーンルームで治療を行います。 しかしながら、特に成人の患者さんの場合、抗がん剤治療だけで治る急性白血病は一部であり、多くは同種造血幹細胞移植、いわゆる骨髄移植が必要となります。 １）骨髄移植 骨髄移植とは、超大量の抗がん剤の投与と全身に放射線を照射することで患者さんの血液細胞を根絶し、そこに健康なドナーの血液細胞を移植して、患者さんの血液細胞を全て入れ替える治療です。 ドナーはHLA（Human Leukocyte Antigen）という白血球の型が適合していることが条件になります。HLAは多様性に富み、日本人の中で適合する確率は数百から数万分の1と言われています。そのため骨髄バンクや臍帯血バンクへの、より多くの方の登録が重要となります。 また、骨髄移植は感染症や移植後の免疫反応など、命に関わる合併症の危険性が高い治療法です。当科では移植後の合併症を抑制し、更に移植前の抗がん剤治療を強化し白血病の再発を減少させることで、移植成績の改善に努めています。 ２）分子標的薬療法 近年、白血病の病態解明が進み新たな治療薬も開発されています。一部の白血病では、原因となっている蛋白質を特異的に抑制することで、副作用が少なく著しい効果を発揮する分子標的療法が開発されています。 これまでは骨髄移植しか治す方法がなかったものが、飲み薬だけで健康な方と同じように生活できるまでに予後が改善しています。 （おわりに） 山口県内の血液内科は山口大学病院を中心にネットワークを構築しています。白血病などの血液疾患の患者さんに適切な治療ができるように密な協力体制のもと、医師や看護師、コメディカルスタッフが一丸となって診療にあたっています。 白血病の治療は、献血者からの輸血や骨髄バンクドナーからの移植など善意のボランティアの方々の協力が非常に大切です。皆さんの善意で救える命があることを知っていただき、協力をしていただけますと幸いです。